国連支援交流協会資源循環プロジェクト>08 >ベジーな夜明け

ベジーな時代の夜明け

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2001年パリ。それはベジーな時代の幕開けだった。
ミシュランの3ツ星レストラン〈アルぺージュ〉のシェフ、

アランパッサールが、「肉はもう使わない」と宣言したのである。
パッサールは稀代の肉焼きテクの持ち主で、

「肉自身が焼かれていることに気づかないうちに焼き上げる」

と、称された男である。
その彼が、看板の肉料理をやめるだなんて。

パリのみならず日本の新聞にも載せるほどの大事件になった。
そりゃまた、なぜ?

食を取り巻く環境が激しく変動していることに、彼の料理人としての

本能が敏感に反応したに違いない。
そろそろ野菜の時代がくるぞぉ。直感だ。

新生〈アルページュ〉をウケ狙いという人もいたが、

先に言っちゃえば勝ちである。
それまでフランスの野菜の価値は低かった。
野菜はただの付け合せと軽視されていたのだ。

ところが独立した存在として改めて野菜を見直したとき、

ひとつひとつに個性があり、多彩な味と香りを持つことがわかってきた。


今まで知らなかった野菜のおいしさに触れたから、

シェフは喜んで料理するし、客は喜んで食べる。
野菜っておいしいじゃない。肉もいいけど野菜もねって。

今さらながら、そんな簡単なことに気づいたんだ。

しかも、体にいいときてる。これまた、言うことなし。


このウェーブは、レストランを中心に、直ちに世界を駆け巡った。
日本にはもともと野菜好きなシェフが多い。

野菜の気持ちはもう十分に分かっている。

だから、フランスで起こったことは、実は日本じゃ当たり前のことだったんだ。
ただパッサールの宣言で初めて、自分たちがやっていることが

世界の中でも結構いい線いっていることに気がついた。
もしや日本ってベジー先進国?

 

-2002.Jun ブルータス-

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常識覆す「肉抜き」フランス料理
 パリの三ツ星最高級レストランで、日本人に最も人気がある店のひとつ

「アルページュ」のシェフ、アラン・パッサール氏(46)がメニューからすべて

の肉類を排除し、グルメを仰天させている。
 一月に全面変更したメニューは前菜からメーンまで肉類は一切なしで、

基本は野菜。多少の魚介類は付け合せに使う。

「カブと黒ラディッシュとキャベツの黒トリュフ・パルメザンソース添え」など

見慣れない料理が並ぶ。
 欧州では狂牛病騒動が広がり、牛肉は食の主役から降りた感がある。

「肉を使わない料理は二年ほど前から考えていた。もう肉類からインスピ

レーションはわかない。」食文化の変化は肉抜きの決断を速めた側面も

あるだろう。
 十六歳から仏でレストランを渡り歩き、一九八六年にアルページュを開店。

九六年にミシュランガイドで三ツ星を獲得、料理界の最高峰に。同ガイドの

新刊が三月に出るが、「職人が恐れねばならないのは星を失うことより、

挑戦の志を失うことだろう」。
 新境地開拓への意気込みは強い。「野菜には葉や茎や豆や根がある。

それを燻(いぶ)したり焼いたりワイン蒸しにもできる」。野菜は地方の農家

から直接仕入れている。肉抜き後も客足にも変わりはなく、「野菜を楽しみ

たいというのはむしろ顧客の思い」との印象を抱いている。
 フランス料理に肉は欠かせないというのがこれまでの常識。

ただ「フランス料理は三百年間、野菜への取り組みを怠った」と語る。

自らについても「それをさぼった私の三十年のシェフ人生も間違っていた」

と覚悟がにじんでいる。

日経新聞2月22日夕刊より